2024年最新事例|AR/MRのビジネスへの導入・活用事例

AR/MR技術は、私たちのビジネスと日常生活に革命をもたらす可能性を秘めています。

この記事では、製造業から広告業まで、さまざまな業界でのAR/MRの最新事例とそのメリットを探ります。

AR/MRの基礎知識

AR(拡張現実)とは

拡張現実(AR)は、現実世界にデジタル情報を重ね合わせる技術です。

ビジネスにおいては、製品設計からマーケティング、研修・訓練に至るまで、多岐にわたる応用が可能とされています。

特に、ARはリアルタイムでの情報提供やインタラクティブな体験を可能にするため、顧客エンゲージメントの向上や作業効率の改善に寄与しています。

MR(複合現実)とは

MRは、実世界と仮想世界の要素を組み合わせ、ユーザーが実際に相互作用できる環境を作り出します。

例えば、医療分野では、手術支援やロボット操作に使われることが多いです。

MR技術により、医師は仮想現実上での手術のシミュレーションを行い、実際の手術に臨む前に病状や手術手順を詳細に理解することが可能です。

ARはWeb ARとARアプリの2種類

ARにはWeb ARとARアプリの2種類あり、それぞれ異なる利点と制約を持っています。

1.WebAR

WebARは、ウェブブラウザを介して実現される拡張現実技術の一種です。

最大の魅力は、その手軽さにあります。ユーザーはウェブブラウザを開き、特定のウェブサイトにアクセスするだけで、AR体験を楽しむことができるのです。

企業やブランドは、アプリのインストールを要求することなく、消費者にインタラクティブな体験を提供できます。

2.ARアプリ

ARアプリは、スマートフォンやタブレットに専用のアプリケーションをダウンロードして使用する方式です。

最大の利点は、デバイスのハードウェア能力を最大限に活用できることです。

高品質なグラフィックスや複雑なインタラクションが可能で、ゲームや詳細なビジュアル化が必要な用途に適しています。

しかし、ユーザーにアプリのダウンロードを求める必要があり、その障壁が利用率に影響を与える可能性があります。

WebARやARアプリについて詳しく知りたい方はこちら↓

各業界におけるAR/MR活用事例

1.製造業界

航空機製造のエアバス社はMicrosoft HoloLens 2のARメガネを使用し、作業員が手順に沿って効率的に組み立て作業を進められるよう支援しています。

日本のトヨタは、車両の組み立てやメンテナンスを効率化するためにARを導入しており、作業者は3Dモデルを使って複雑な手順を視覚的に把握し、エラーを減らしつつ作業の正確性を向上させています。

また、3D・VR/AR開発スタートアップ・株式会社Forgersは、製造業界向けの3D・デジタルマニュアルサービス「RITTAI MANUAL」を展開しています。

製品の組み立て・使い方・メンテナンス方法を分かりやすく表現するツールとして、営業や人材育成等に活用することができます。

製造業界のAR/MR活用事例はこちら↓

2.土木・工事業界

土木・工事業界でのAR技術の活用は、プロジェクトの計画、進行管理、安全性向上、そしてコミュニケーションの効率化を促進しています。

日本では、清水建設などの大手ゼネコンがAR技術を活用しています。

これにより、現場作業員は実際の環境に重ねてデジタル情報を表示し、より正確かつ迅速に作業を進めることができます。

海外では、Trimble社のARツールが、土木工事プロジェクトの進捗の報告やチームワークの強化に利用されています。

これらのツールは、建設現場での作業効率を向上させ、エラーの発生を減少させることに貢献しています。

土木業界の活用事例について知りたい方はこちら↓

3.建築・建設業界

建築・建設業界において、ARは建築物の3Dモデルを現実世界に重ね合わせることで、設計の可視化、施工の精度向上、プレゼンテーションの強化を実現しています。

日本では、竹中工務店がAR技術を活用し、建築現場での作業指示や安全教育を行い、作業員の理解を深めています。

海外では、 Autodesk社のRevit LiveなどのARソリューションが、建築設計の共有や施工段階でのトラブルシューティングに利用されています。

これらのツールにより、設計者と施工者間のコミュニケーションが向上し、プロジェクトの成功率が高まっています。

建築・建設業界のA/MRR活用事例はこちら↓

4.不動産業界

不動産業界は、土地や建物などの不動産物件の売買、賃貸、管理を行う産業であり、住宅、商業施設、オフィスビルなどが含まれます。

この業界において、AR技術は物件の魅力を顧客に伝え、購入意欲を高めるための重要なツールとして活用されています。

海外では、ZillowRedfinのような不動産プラットフォームが、AR技術を用いたバーチャルツアーを提供しており、顧客は自宅から様々な物件を効率的に比較検討できます。

5.リフォーム業界

リフォーム業界は、家の建設、改修、装飾などのサービスを提供する産業です。

AR技術は、顧客が家具や建材の配置を仮想的に体験し、リフォーム前にイメージを確認できるツールとして活用されています。

日本では、LIXILパナソニックなどの住宅設備企業が、ARアプリケーションを通じて、顧客がリフォームのシミュレーションを行えるサービスを提供しています。

これにより、顧客は購入前に製品が自宅の空間にどのように収まるかを確認できます。

海外では、大手ホームセンターのHome Depotが、AR技術を活用したリフォームプランニングツールを提供しており、顧客は自宅でのリフォームプロジェクトを簡単に計画できます。

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6.小売EC業界

小売EC業界では、AR技術によって、顧客がモバイルアプリやWebプラットフォームを通じて、製品情報をバーチャルで即座に取得し、価格や色、サイズ、レビューなどの詳細を確認できます。

ファッション小売業のASOSは「See My Fit」というAR機能を導入し、顧客がアプリ上で衣服を試着し、購入前にフィット感やスタイルを確認できるようにしています。

3D・VR/AR開発スタートアップ・株式会社Forgersは「RITTAI」という顧客が自宅で家具を仮想的に配置して試せるコマース向けのサービスを提供しています。

RITTAIは、ニッセン・イトーキといった大手企業から中小企業まで幅広い企業のECやカタログに導入されています。

小売EC業界におけるAR/MR活用事例についてもっと知りたい方はこちら↓

7.スポーツ業界

スポーツ業界では、AR技術がファンのエンゲージメントを高め、試合の視聴体験を向上させることを期待されています。

日本のNECは、ARを活用した新たなスポーツ観戦スタイルの実証実験を行っています。

これが実現すると、ユーザーは試合の統計情報や選手情報をリアルタイムで確認できるようになります。

また、海外のARスポーツエンタメ企業であるQuintarと通信会社AT&Tも共同で同様のARサービスを開発しています。

試合会場で AR コンテンツにアクセスできるようになれば、家でテレビ観戦している時のように詳細な情報が提供されて、楽しみがより一層深まります。

スポーツ業界におけるAR/VR活用事例についてもっと知りたい方はこちら↓

8.医療業界

医療業界において、AR技術は医療従事者のトレーニングや手術の支援、患者教育などに利用されています。

日本では、VR Japan順天堂大学医学部呼吸器外科が、ARを用いた安全な「胸腔ドレーン挿入法」の共同研究を行なっています。

AR技術によって患者の胸部CTの情報をARグラスに反映させるシステム構築の研究を進めています。

これが実現すれば、体腔内を透視した状況が実現して、胸腔ドレーンの挿入の安全性が高まります。

また、NTTグループのXR企業・NTTコノキュー社は、株式会社Forgersと共に歯科業界の人手不足を解消する遠隔医療支援サービス「Project the Hands」を開発しています。

Project the Handsの詳細はこちら

海外では、スイスのKapanu社が歯科医療向けARアプリをリリースしています。

このアプリを使えば、治療前の患者の口腔内を3Dスキャンして、患者に装着予定の歯の3DモデルをARで表示させることができます。

医者と患者の間で装着のイメージを共有できるため、患者の満足度向上が期待できます。

医療業界におけるAR/MR/VR活用事例についてもっと知りたい方はこちら↓

9.観光業界

観光業界におけるARの応用は、旅行体験を変革し、観光客に新しい方法で目的地を探索させる機会を提供しています。

観光客が実際の環境にバーチャル要素を重ね合わせることで、文化遺産や名所の歴史を学ぶことができます。

例えば、SmartGuideは特定の場所での3Dモデル表示によって観光客の没入感を高めます。

また、福島県では「大冒険!ウルトラマンARスタンプラリー」というイベントが開催され、ウルトラマンのAR画像をダウンロードしてスタンプを集めることで、家族連れの観光客を誘致しています。

これらのARアプリケーションは、観光客に対して没入感のある案内を提供し、旅行体験を向上させることができます。

観光業界におけるAR/VR活用事例についてもっと知りたい方はこちら↓

10.教育業界

教育現場でのAR技術の活用は、学習体験を豊かにし、生徒たちの理解を深める革新的な手法として注目されています。

日本では、東京書籍が自社開発のARアプリマチアルキを提供し、生徒たちが地域の魅力を動画で発信する活動をサポートしています。

海外では、Wonderscopeというアプリが、スマホやタブレットを使って、絵本の世界を現実空間に映し出し、子どもたちが物語に直接参加できるインタラクティブな学習体験を提供しています。

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11.音楽業界

音楽業界は、アーティストの作品制作から配信、ライブパフォーマンスまでを含む広範な産業です。

この業界では、AR技術がファンとの新しいインタラクションを生み出し、エンターテイメント体験を革新しています。

日本では、ソニーミュージックエンタテインメントがARを活用したアーティストの音楽ライブを行っており、ファンはアーティストの音楽やビジュアルをより身近に感じることができます。

海外では、人気アーティストのMaroon5が、YoutubeのオフィシャルアカウントでARを活用したMVをリリースしました。

SnapchatのARフィルターを使用したこの動画クリップは2023年12月7日時点で約2,260万回再生されています。

音楽(エンタメ)業界におけるAR/VR活用事例についてもっと知りたい方はこちら↓

12.美容業界

美容業界では、化粧品の試し塗りやスキンケアの効果を仮想的に体験するためにARが利用されています。

これにより、消費者は製品を購入する前に、自分に合った色や効果を確認できます。

日本の化粧品ブランド資生堂は、店舗にARミラーを設置し、顧客が化粧品をバーチャルで試すことができます。

海外では、L’OréalがAR技術を活用して、顧客が自宅で化粧品を試すことができるサービスを提供しています。

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13.運輸・物流業界

運輸・物流業界では、AR技術が配送プロセスの効率化や、倉庫内の作業指示に利用されています。

これにより、作業員はより迅速かつ正確に作業を行うことができます。

日本では、NECがARグラスを用いたソフトウェアを開発し、物流倉庫内でのピッキング作業の効率化に貢献しています。

遠隔業務支援サービスは、現場作業者と遠隔地の支援者が映像と音声を共有し、リアルタイムでのサポートを実現することで、ピッキングミスの低減に寄与しています。

海外では、ウォルマートが同様にAR技術を導入して、倉庫内でのピッキング作業の効率を向上させています。

14. 広告業界

広告業界では、ARによるインタラクティブな体験によって、販売促進やSNS拡散、競合との差別化といった効果が期待できます。

「SWEETS BANK」ARは、OnePlanetと春華堂が共同で制作したものです。

このARは、Instagramを使用し、新型コロナウイルス感染症の流行下でも複合施設「SWEETS BANK」を気軽に楽しめるように設計されました。

Instagram上でカメラが平面を検知すると、2021年4月12日に開業した複合施設「SWEETS BANK」がARとして現実世界に飛び出し、周囲360°を体験できるようになります。

海外では、ペプシマックス社がロンドンのバス停に特殊なHDスクリーンを設置し、UFOやロボットなどのAR映像を表示しました。

これにより、バスを待つ人々は現実とARが融合したユニークな体験を楽しむことができました。

このキャンペーンはYouTubeで800万回以上再生され、ペプシマックスの売上を最大35%伸ばしました。

ビジネスにおけるAR/MR導入時の課題と対策

最後に、ビジネスにおけるAR/MR導入にあたっての課題とその対策について解説します。

1.技術的ハードルやコストが高い場合は、無料ツールの利用や外部委託をする

AR/MR技術の導入には、専門的な技術や知識を持った開発チームや高価なハードウェアが求められることが多いです。

これは、小規模な企業にとっては、特に大きな障壁となり得ます。

解決策の一つとして、オープンソースのAR/MRフレームワークを活用することが挙げられます。

これにより、開発コストを抑えつつ技術の導入が可能になります。

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また、外部の専門企業とパートナーシップを組むことで、技術的なハードルを乗り越えることも一つの方法です。

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2.多くの人に利用してもらえるように、わかりやすいUI設計を心がける

AR/MR技術のユーザーインターフェースは、その直感性と使いやすさによって、導入の成功が大きく左右されます。

特に、AR/MRデバイスを日常的に使用しない人々にとっては、複雑な操作や理解しづらいインターフェースは大きな障壁になります。

この課題に対する対策として、ユーザーテストを積極的に実施し、エンドユーザーの視点から使いやすいインターフェースを設計することが重要です。

さらに、チュートリアルやヘルプ機能を充実させることで、ユーザーが新しい技術を習得しやすくすることも有効な手段です。

3.リアルタイム処理能力を高めるために、クラウドを利用する

AR表示を現実世界と馴染ませるためには、高度なリアルタイム処理能力が求められます。しかし、これは簡単なことではありません。

この問題に対しては、強力なコンピューティングリソースと最適化されたソフトウェアアルゴリズムの開発が必要です。

クラウドコンピューティングやエッジコンピューティングの技術を活用することで、データ処理の負荷を分散し、リアルタイム性を高めることが可能になります。

まとめ

今回はビジネスにおけるAR/MR導入事例をご紹介しました。

この記事が様々な業界のAR/MR導入の際の検討に役立てば幸いです。

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