【建築・建設業界のAR/MR活用事例】メリットや導入する際のポイントを解説!

建築・建設業界は、AR(拡張現実)、MR(複合現実)など、いわゆるXR(クロスリアリティ)技術の進化により、劇的な変革の時代を迎えています。

この記事では、これらの技術が建築・建設業界にもたらす可能性を探ります。

建築・建設業界でのAR/MR活用を検討している方は、ぜひ一読ください!

AR/MR/VR/XRの基礎知識

まずは、AR/MR/VR/XRについて、簡単に説明します。

技術特徴建築・建設業界での利用
AR (拡張現実)現実世界にデジタル情報を重ね合わせる設計図の視覚化、進捗確認
MR (複合現実)ARとVRの要素を組み合わせ、現実と仮想の境界を曖昧にするインタラクティブな設計・シミュレーション
VR (仮想現実)完全に仮想世界を体験し、現実世界から切り離される仮想的な建築体験、教育・トレーニング
XR VR、AR、MRを総称し、仮想世界と現実世界の統合を指す様々な技術の統合による包括的な活用

AR(拡張現実)とは

AR(Augmented Reality)は、現実世界にデジタル情報を重ね合わせる技術です。

スマートフォンやAR専用のメガネを通して、現実の景色に仮想の画像や情報を表示させることができます。

建築・建設現場では、現実の環境にデジタル情報を重ね合わせ、設計図の視覚化や作業進捗の確認に役立ちます。

スマートフォンやARゴーグルを用いて、設計変更の影響をリアルタイムで視覚化し、計画段階での調整や施工中の確認を効率化します。

MR(複合現実)とは

MR(Mixed Reality)は、現実と仮想の境界を融合させる技術です。

ARよりもさらに高度なインタラクションが可能で、ユーザーは仮想オブジェクトを現実世界で操作できるようになります。

建築・建設現場では、シミュレーションや設計プロセスで利用され、プロジェクトの各段階において現実に近い体験を可能にし、より詳細な計画と検証を実現します。

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VR(仮想現実)とは

VR(Virtual Reality)は、完全に仮想の環境を作り出す技術です。ヘッドセットを装着することで、ユーザーは実際の空間から切り離された、完全にデザインされた仮想世界に没入できます。

VRは、建築家やプランナーが仮想環境内で建築物をデザインし、体験することを可能にします。

VRヘッドセットによる没入型体験は、設計の確認や顧客へのプレゼンテーション、教育・トレーニング用途に広く用いられています。

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XRとは

XR(Extended Reality)は、AR・MR・VRを包括する用語で、現実と仮想の両方を拡張する技術を指します。

これらの技術は、土木業界でも活用されています。興味がある方は以下の記事もご覧ください。

建築・建設業界が抱える課題をAR/MRで解決可能

AR/MRは、建築・建設業界が抱える課題を解決できるとして、注目を集めています。

1.少人数/高齢者でも効率的かつ安全に作業が行える

建築・建設業界では、労働力の減少と高齢化が深刻な問題となっています。

AR/MR技術の導入により、仮想情報を実際の作業環境に重ね合わせることが可能になります。

この技術を利用して、作業手順や安全上の注意点を直感的に把握することができるようになります。

例えば、ARゴーグルを通して、正確な材料の配置場所や施工手順が現場作業員に提示されることで、作業の効率化とミスの削減、さらには高齢者でも負担少なく作業を行うことが可能となります。

2.仮想環境で、安全にスキルを身につけることができる

若手技術者の育成は、経験豊富な技術者が減少する中で、建築・建設業界にとって切実な課題です。

AR/MR技術をトレーニングに取り入れることで、リアルな作業現場を模した仮想環境で、安全に実践的なスキルを身につけることができます。

これは、若手技術者が高リスクの作業を繰り返し体験し、対応能力を高めるのに役立ちます。

この方法は、場所や時間に束縛されずに行えるため、効率的なスキルアップと若手の育成に貢献します。

3. 現場のリアルタイム情報を提供し、作業効率を向上させる

生産性の向上と働き方改革は、建築・建設業界の大きな課題です。

AR/MR技術を活用することで、設計から施工管理に至るまでの各プロセスを効率化し、作業効率を大幅に向上させることができます。

例えば、AR技術を使って、現場のリアルタイム情報を提供し、迅速な意思決定を支援することが可能です。

これにより、無駄な動きを減らし、作業時間の短縮と長時間労働の是正に寄与します。

また、作業員の健康を守り、ワークライフバランスの改善にも繋がります。

AR、MRの建築・建設業界での活用事例3選

ここでは、AR、MRの建築・建設業界での活用事例を3つご紹介します。

1.清水建設 施工ミスがないかをAR表示で確認

清水建設では、AR技術を活用して建設現場での作業効率化に取り組んでいます。

例えば、ARを用いて建設現場における施工計画の確認や作業の指示を行い、現場作業員が実際の建設物と仮想の建設情報を重ね合わせて確認することができます。

これにより、施工ミスの減少や作業の迅速化が実現されています。

2.竹中工務店 建物のスケール感を様々な縮尺でMR再現

竹中工務店は、建築の設計・施工プロセスで、マイクロソフトのMR用ヘッドマウントディスプレー「HoloLens(ホロレンズ)」を利用する試みを続けています。

建設に関わる人たち同士で、建物の形や空間の情報を共有する際に有効であると考えられます。

パソコン画面での検討では正確に認識できない「スケール感」を、MRならば1/1000、1/100、1/10、1/1(原寸)とそれぞれの縮尺でリアルに空間に再現することが可能です。

3.三井住友建設 ARでコンクリート締固めを定量的に管理する

三井住友建は、コンクリート打設時にAR技術を活用して締固め作業(土や砂利などの地盤材料を圧縮し、その密度を高めること)の定量的な管理を行う「ARコンクリート締固め管理システム」を開発しました。

このシステムは、打設したコンクリートの締固め範囲と時間をiPad の画面上に可視化するもので、締固め作業の定量的な管理が可能となり、確実なコンクリート充填と構造物の高品質化を実現しています。

また、ネットワークを介して、同時に複数のiPadで同じ締固め状況をリアルタイムで管理できるため、複数台で広範囲の締固め管理が可能です。

AR、MRを建築・建設業界に導入する際のポイント

建築・建設業界でAR/MRを導入する際に考慮すべきポイントは5つあります。以下にそれぞれの詳細を説明します。

1.目的を明確にする

ARやMR技術導入の最初のステップは、目的の明確化です。

例えば、施工管理の効率化、設計ミスの減少、作業員の安全性向上など、具体的な目標を設定します。

この目的は、導入する技術選定の基準となり、プロジェクト全体の方向性を決定する重要な要素です。

明確な目的は、投資の正当性を評価し、導入後の成果測定の基準となります。

2.目的に基づいて、適切なAR/MR技術を選ぶ

市場には様々な製品が存在し、それぞれ特徴やコストが異なります。

導入する技術は、予算内で最大の効果を発揮できるものを選ぶことが重要です。

また、技術導入に伴う初期投資だけでなく、維持管理コストも考慮に入れる必要があります。

予算配分は、事業の持続可能性を確保する上で不可欠です。

3.研修やサポート体制を整備する

導入した技術が最大限に機能するためには、従業員への適切なトレーニングが不可欠です。

使用者が技術を理解し、効果的に活用できるように、教育プログラムと継続的なサポート体制を整備することが重要です。

トレーニングは、従業員の技術への抵抗感を減らし、生産性の向上を図るためにも効果的です。

また、技術的な問題が発生した際に迅速に対応できるサポート体制も、スムーズな運用を保証するために必要です。

4.データ管理とセキュリティ対策を万全にする

ARやMR技術の導入は、大量のデータを生み出します。これらのデータの管理とセキュリティ対策は非常に重要です。

データの安全性を確保するために、アクセス権限の管理、データの暗号化、バックアップの取得など、適切なデータ管理体制を構築する必要があります。

情報漏洩やデータ損失を防ぐためのセキュリティ対策も、技術導入の成功に不可欠です。

5.フィードバックをもとに改善を繰り返す

技術導入後は、ユーザーからのフィードバックを収集し、システムの改善を継続的に行うことが重要です。

実際の使用状況に基づいた評価と改善は、技術の効果を持続させるために不可欠です。

ユーザーの経験を基にして定期的にシステムをアップデートし、技術導入の効果を最大化することが求められます。

おすすめAR/MR開発会社3選

ここからは、おすすめAR/MR開発会社を3社紹介します。

1.株式会社Forgers

  • 会社概要: Forgersは、家具・小売業界や製造業界、通信業界など幅広い会社を対象にAR・MR・VRアプリケーションやメタバース開発を支援している会社です。
  • 事業内容: 特にリアルタイムの3Dグラフィックスを活用したARアプリケーションの開発に強みを持ち、リアルなインタラクションを提供しています。
  • 開発実績: VR・メタバースショッピングアプリの企画・開発や、EC・小売店舗向けARサービス「RITTAI」を提供しています。

2.株式会社エムソフト

  • 会社概要: エムソフトは、デジタルソリューションの専門企業で、最新技術を用いたサービスを提供しています。
  • 事業内容: ARを活用したコンテンツの開発に加えて、VRや3Dグラフィックスなどの技術も扱っています。
  • 開発実績: 企業のプロモーション用のARアプリケーションやイベントでの活用など、幅広い分野での実績があります。
出典:エムソフト

3.株式会社One Planet

  • 会社概要: One Planetは、AR技術を中心に革新的なデジタルソリューションを提供する企業です。
  • 事業内容: ARを活用した製品開発、マーケティング戦略策定、カスタマイズされたARアプリケーションの開発など。
  • 開発実績: 最先端ARグラスを活用した圧倒的な技術力、大手クライアントから自治体までさまざまな業界・業種での高度な技術を活用した取り組み実績があります。
https://www.youtube.com/watch?v=cvxiW9p7g1s

そのほかのAR/MR開発会社について知りたい方はこちら

今後の建築・建設業界でのAR/MR活用の展望

建築・建設業界におけるAR/MR技術の将来的な活用には、多くの可能性が秘められています。現状の技術の延長線上にある利用法だけでなく、新たな概念や技術の登場により、この分野はさらに進化し続けることが期待されます。

以下の2つのトピックを中心に、今後の展望を具体的に考察します。

  1. 完全仮想建設現場の実現
  2. AIとの統合による自動化と最適化

1. 完全に仮想的な建設現場での作業が実現する

将来的には、AR/MR技術を活用して、完全な仮想建設現場が実現可能になると考えられます。

これにより、設計者や建設管理者は物理的な現場を訪れることなく、仮想空間で建設プロジェクト全体を管理し、最適な意思決定を行うことができるようになります。

例えば、MRヘッドセットを使用することで、現実の建設現場と完全に同期した仮想環境を体験でき、現場の状況をリアルタイムで把握し、迅速かつ効果的な調整を行うことが可能になります。

これにより、プロジェクトの効率化、コスト削減、リスク管理が大幅に向上します。

2. AIとの統合によって作業の自動化と最適化が行われる

AR・MR技術とAI(人工知能)の統合は、建築・建設業界を大きく変えるでしょう。

AIを活用して、建設プロジェクトのデータ分析や意思決定の自動化を行うことが可能になります。

たとえば、AIが建設現場のデータを分析し、効率的な作業手順や安全上のリスクをARデバイスを通じて現場の作業員に提供するシステムが考えられます。

また、AIによる建設材料の最適な配置や作業スケジューリングの提案も実現可能です。

このようなシステムにより、人間の直観や経験に頼ることなく、より科学的かつ効率的な建設作業が行えるようになります。

まとめ 

この記事では、建築・建設業界におけるAR/MRの導入とそのメリット、活用事例、導入時のポイントについて詳しく解説しました。

この記事が、建築・建設業界におけるAR/MR導入の検討の際の参考になれば幸いです。

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