【建築・建設業界のVR/メタバース活用事例】メリットや導入する際のポイントを解説!

建築・建設業界における技術革新は、絶えず進化を遂げています。

特に、VR(バーチャルリアリティ)やメタバースのような先端技術は、この分野での可能性を大きく広げています。

この記事では、VR/メタバースを建築・建設業界で利用する際の魅力と効果を深掘りしていきます。

実際の活用事例から導入時のポイントまで、わかりやすく解説していますので、建築・建設業界でのVR/メタバースの導入を考えている方はぜひご覧ください!

VR・メタバースの基礎知識

ここでは、VR・メタバースについて簡単に説明します。

VR(仮想現実)とは

VR技術は、仮想現実を体験させるための技術です。ヘッドセットなどのデバイスを通じて、ユーザーは実際には存在しない、3Dで構成された仮想空間に没入できます。

この技術は、建築設計の過程において、建物のデザインをリアルタイムで視覚化するために用いられます。

さらに、VRは建設現場の安全教育やシミュレーションにも活用され、効率的かつ安全な作業環境の提供に寄与しています。

メタバースとは

一方で、メタバースは、仮想世界での社会的な相互作用を可能にする、より包括的な概念です。

メタバース内では、ユーザーはアバターを通じて活動し、他のユーザーや環境とやり取りすることができます。

建築・建設業界では、メタバースを利用して、仮想の建物や都市計画を体験し、プロジェクトの共有やクライアントとのコラボレーションが行われます。

VR・メタバースと似た技術として、AR(拡張現実)、MR(複合現実)がありますが、これらの技術も建築・建設業界において大いに活用されています。

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建築・建設業界が抱える課題をVR/メタバースで解決可能

VR/メタバースは、建築・建設業界が抱える課題を解決できるとして、注目を集めています。

1.物理的な負担を減らし、少人数でも効率的に作業が進められる

建築・建設業界では、大きな物理的負担と多くの人員が必要とされることが課題となっています。

例えば、大型の建築物を建設する際には、現場での重労働が伴い、多くの作業員が必要です。

しかし、VR/メタバースの活用により、この課題を大きく改善することができます。

VR技術を用いることで、仮想空間の中で建築物のモデルを作成し、試作品の確認や変更を行うことが可能になります。

これにより、実際の物理的な作業や人手を大幅に削減し、少人数でも効率的に作業を進めることができるようになります。

2.仮想空間でのトレーニングにより、安全にスキルを習得できる

建設業界での作業は、高所作業や機械操作など、事故のリスクを伴う場合があります。

新入社員や経験の浅い作業員が実際の作業現場でトレーニングを行う際には、安全上の懸念が常にあります。

しかし、VR技術を活用することで、仮想空間の中でリアルな作業環境を再現し、実際に作業を行う感覚でスキルを学習することができます。

この方法では、実際の現場でのリスクを伴わずに、必要な技術や手順を安全に習得することが可能になります。

3.設計段階でのエラー検出と修正が容易になる

設計段階でのエラーや不備は、後の工程で大きな問題となることがあります。

従来の設計方法では、紙やコンピュータ上の図面で設計を行い、エラーの検出が難しい場合があったのですが、VR技術を用いることで、設計された建築物を仮想空間で立体的に確認することができます。

これにより、設計段階でのエラーや不備を容易に検出し、修正することが可能になります。

例えば、室内の動線が狭いことや、設備の配置に問題があることなど、実際に歩いてみることで気づくことができるエラーを、事前に修正することができます。

VR/メタバースを導入する際の注意事項

ここでは、建築・建設業界においてVR/メタバースを導入する際の注意事項について解説します。

1.初期投資や維持費用が高いため、小規模会社にとっては負担が大きい

VR・メタバースの導入には、初期費用としての投資が必要です。

高品質のVR機器、ソフトウェア、そしてこれらを運用するためのサーバーやネットワーク環境など、初期設定には相応のコストがかかります。

さらに、これらの技術を継続的に活用するためには、定期的なメンテナンスやアップデート、トレーニングコストも考慮する必要があります。

特に、小規模な建築事務所やスタートアップ企業にとっては、大きな負担になる可能性があります。

2.情報セキュリティの強化が求められる

VR・メタバースの技術を活用する際には、情報セキュリティが重要な懸念事項です。

建築設計データやクライアント情報などの機密情報を扱う業界特有の性質上、これらの情報がデジタル空間で適切に管理されることが求められます。

サイバーセキュリティ対策の不備は、データ漏洩や不正アクセスなどのリスクを高めるため、セキュリティ対策の強化と定期的な監査が必要になります。

3.操作の複雑さ・VR酔いに戸惑う可能性がある

VR技術を利用する際には、一部のユーザーが経験する可能性のある「VR酔い」も考慮する必要があります。

これは、仮想環境内での動きと実際の身体感覚のズレによって起こる不快感です。

また、VR機器やメタバースの操作は、特に初心者にとっては複雑であり、十分なトレーニングが必要です。

このため、ユーザーが快適に利用できるよう、インターフェースの使いやすさやサポート体制の整備が重要です。

建築・建設業界でのVR・メタバースの活用事例3選

ここからは、建築・建設業界でのVR・メタバースの活用事例を3つご紹介します。

1.大成建設 建築情報をメタバース上で一元管理する

大成建設株式会社は、株式会社日立コンサルティング、GlobalLogic Japan株式会社、株式会社日立社会情報サービスと共同で、「建設承認メタバース-CONSTRUCTION CONTRACT(略称 C2QUEST)」というシステムの開発を開始しました。

このシステムは、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)に基づいて構築された仮想空間上で、建築物の意匠、構造、設備などのデジタルデータを統合し、クラウド上にメタバースを形成します。

これにより、プロジェクト関係者間での情報共有が可能となり、建設承認に必要なデータや議事録を一元管理できます。

また、VRとの融合や承認プロセスのデジタル化を通じて、プロジェクトの効率化と働き方改革に貢献することを目指しています。

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2.大林組・積木制作 鉄筋背筋の間違いをゲーム感覚で学ぶ

大林組と積木製作は、VR(ヴァーチャルリアリティ)技術を活用した施工管理者向け教育システム「VRiel(ヴリエル)」の販売を開始しました。

このシステムは、ゲーム感覚で鉄筋配筋の間違いを探すことができ、実際の施工現場での不具合の感知能力を高めることを目的としています。

配筋はコンクリート打設後に確認が難しいため、このシステムは施工管理者が誤りを注意深く確認するのに役立ちます。

VRielは以前は専用パソコンとVRゴーグルの接続が必要でしたが、市販のVRゴーグルのみで利用できるようにハード面の改良が行われました。

さらに、ソフト面でも各種基準の最新版への改正や日本建設業連合会の配筋基準図に対応するなどのバージョンアップが施されました。

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3.奥村組 設計・施工の検討制度を高め、工数を削減

Synamon、奥村組と奥村組技術研究所の「メタバース技術研究所」を構築 | 株式会社Synamonのプレスリリース

奥村組は、実験棟における実験に伴う増改築工事の工数削減のために、メタバース技術を活用しています。

この「メタバース技術研究所」では、実験棟の増改築に必要な作業をバーチャル空間でシミュレーションし、設計や施工内容の検討精度を高めることで、実際の工事での工数を削減しています。

この技術は、持続可能な開発目標(SDGs)の推進にも寄与し、実際の素材を使用せずに実験環境を再現することが可能です。

国土交通省の「i-Construction」プロジェクトと連携し、BIMデータを利用して実験棟の3Dモデルを構築しています。VRサービス「NEUTRANS」も活用されています​。

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建築・建設業界のVR/メタバース導入の流れ

ここからは、建築・建設業界におけるVR・メタバースの導入の流れを解説します。

1.目的を明確にする

最初の段階は、建築・建設業界特有のニーズとVR/メタバースの利用目的を明確にすることです。

例えば、設計可視化、クライアントプレゼンテーション、安全トレーニングなどが挙げられます。

注意点は、特定のプロジェクトやプロセスにどのようにVR・メタバースが最大の価値をもたらすかを理解することです。

また、技術導入によって生じるプロセスの変化を予測し、適切な対応計画を立てることが重要です。

2.目的に適したVR/メタバース技術を選ぶ

次に、建築・建設業界向けのVR・メタバース技術の選定を行います。

BIMとの互換性や建築物の詳細なレンダリングが可能なプラットフォームを選ぶことが重要です。

注意点として、現場での使用を考慮し、操作の簡便さや耐久性も重視する必要があります。

セキュリティ対策は特に重要で、設計データの保護を徹底する必要があります。

3.研修やサポート体制を整備する

VR・メタバース技術を導入後、建築・建設業界に特化したトレーニングを従業員に実施しましょう。

この段階での注意点は、技術的な操作方法だけでなく、設計や建設プロセスにおけるVR・メタバースの活用方法を教育することです。

特に、設計変更の可視化や安全シミュレーションなど、業界特有の用途に焦点を当てたトレーニングが必要です。

4.フィードバックをもとに改善を繰り返す

最終段階では、実際の建築・建設プロジェクトでVR/メタバースを運用します。

この段階での注意点は、新しい技術をプロジェクトに組み込む際の柔軟性を持つことです。

また、技術導入による成果や問題点を定期的に評価し、必要に応じて改善策を講じることが重要です。

プロジェクトごとの特性を考慮し、VR/メタバースの利用方法を最適化することが求められます。

おすすめVR/メタバースプラットフォーム

ここからは、おすすめのVR・メタバースプラットフォームをご紹介します。

1.comony

comonyは、ラストマイルワークス株式会社が提供するビジネス向けVR空間共有サービスです。

このプラットフォームは建築特化型メタバースを採用しており、仮想空間内で建築を探索したり、ツアーに参加することが可能です。

また、ユーザーはオーナーとして独自の建築物を構築し、ツアーの企画も行えます。

comonyは、リアルタイムの3Dビジュアライゼーションを提供し、抽象度の高い設計や複雑な空間情報をわかりやすく伝えることができます。

その特徴としては、過去、現在、未来の様々な建築物をメタバース上に建設・公開することが可能であり、フォトリアルな仮想体験を提供するシンプルなUIや、オーナー自身がガイドとなってツアーを開催する機能があります。

comony ウェブサイト

2.超建築ユニバース

クリーク・アンド・リバー社が提供する「超建築メタバース」は、一級建築士が実際の建築データを基に設計開発したメタバース空間の住宅展示場プラットフォームです。

このプラットフォームは、「すぐに使えるメタバース」として開発され、リアル住宅展示場の発展形である「ランドスケープモデル」と、物件を整理して吟味できる「ミュージアムモデル」の2つのモデルを提供します。

さらに、ニーズに応じたカスタマイズが可能で、期間限定でのレンタル利用も可能です。

このプラットフォームでは、VRモデルハウスを1棟から設計・構築することができ、一級建築士が監修し、高品質の住宅をリアルに再現することが特徴です。リアル住宅展示場に比べてコストも大幅に削減されます​。

クリーク・アンド・リバー社 建築DXサービス ウェブサイト

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おすすめVR・メタバース開発会社3選

ここからは、おすすめVR・メタバース開発会社を3社ご紹介します。

1.株式会社Forgers

  • 会社概要: 家具・小売業界や製造業界、通信業界など幅広い会社を対象にVR/ARアプリケーションやメタバース開発を支援。
  • 事業内容: 3D・XR技術に特化したサービス開発・コンサルティング。
  • 開発実績: VR・メタバースショッピングアプリの企画・開発。EC・小売店舗向けARサービス「RITTAI」の提供。 インテリア3D空間シミュレーション「RITTAI ROOM」の提供。

2.クラスター株式会社

  • 会社概要: バーチャル空間におけるコミュニティ形成をサポートする企業。
  • 事業内容: バーチャルイベントプラットフォームの開発。
  • 開発実績: 多数のバーチャルイベントや展示会の実施。「バーチャル渋谷」をKDDIと共同開発。

3.株式会社Synamon

  • 会社概要: AR・VR技術を活用した教育やビジネス向けソリューションを提供。
  • 事業内容: 教育用VRコンテンツ、ビジネス会議システムの開発。
  • 開発実績: 企業研修用VRプログラム、学校教育向けARアプリケーション。ファンマーケティング向けメタバース「SYNMN」を運営。

そのほかのVR・メタバース制作会社について知りたい方はこちら

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今後の建築・建設業界でのVR・メタバース活用の展望

建築・建設業界におけるVR(仮想現実)とメタバースの今後の活用について考察します。

現状の技術の延長線上にある利用法だけでなく、将来の新たな概念や技術にも触れ、以下の3つのトピックを中心に展望を探ります。

1.完全な仮想空間での建設プロジェクトが可能になる

将来的には、VRとメタバースを活用して、完全なバーチャル建設プロジェクトが実現可能になると考えられます。

このシステムでは、設計者や建設管理者が物理的な現場に足を運ぶことなく、仮想空間で建設プロジェクト全体を管理できます。

たとえば、メタバース内でプロジェクトの各段階をリアルタイムで視覚化し、チームメンバーが遠隔地からでも協力してプロジェクトを進めることができます。

これにより、時間とコストの削減、さらには環境への影響を最小限に抑えることが可能になります。

2. AIとの統合によって作業の自動化と最適化が行われる

今後の展望の一つとして、AI(人工知能)との統合による自動化と最適化があります。

この統合により、建設プロジェクトの計画、実行、管理の各段階での効率が大幅に向上します。

たとえば、建設現場における作業員の動線や資材の配置をAIが分析し、最も効率的なルートや配置をVR環境内でシミュレートします。

これにより、作業員は最適なルートを事前に把握でき、現場での移動時間の短縮や作業の迅速化が実現されます。

また、AIはリアルタイムで気象条件や作業進捗を分析し、悪天候による作業遅延やリスクを予測し、事前に適切な措置を講じることができます。

3. 現場状況をリアルタイムで把握し、効率的に管理できる

スマート建設とは、センサーやIoT技術によって収集された現場データをメタバース内で可視化し、建設現場の状態をリアルタイムで把握し、効率的に管理することを指します。

例えば、建設現場に設置されたセンサーが気温、湿度、振動などのデータを収集し、それらをメタバース内で分析して表示します。

VRヘッドセットを通してこれらの情報を確認することで、プロジェクトマネージャーや作業員は、現場の安全性や作業効率をリアルタイムで監視・向上させることが可能になります。

センサーが異常な振動を検出した際には、その情報を即座にメタバース内で可視化し、関係者が迅速に対処できるようにします。

まとめ

この記事では、建築・建設業界におけるVR・メタバースの活用事例とその導入のメリット、デメリット、導入の流れと注意点について解説しました。

この記事が、建築・建設業界におけるVR・メタバース導入の際にお役に立てば幸いです。

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