【Varjo XR-4】最高クラスの解像度を誇るMRヘッドセットを解説!

2024年2月に発売された「Apple Vision Pro」がXR業界を大いに盛り上げていますが、Vision Proの他にも高性能なXRデバイスはたくさんあります。

この記事では、最高クラスの解像度を誇る「Varjo XR-4」の特徴や活用方法、他のVRデバイスとの比較をしていこうと思います。

※この記事は2024年2月14日時点の情報をもとに書かれたものです。

Varjo XR-4とは

「Varjo XR-4」(以下、XR-4)は、産業用途に最適化された最新のMRヘッドセットです。

フィンランドのVarjo社によって開発されたこのデバイスは、超高解像度ディスプレイと革新的な光学設計を組み合わせることで、前例のない没入感と視覚的忠実度を実現しています。

片眼あたり4K解像度、合計で約2800万画素のディスプレイを搭載しており、視野角は水平120度、垂直105度に拡大されています。

また、最高レベルの色域表示と輝度を提供し、リアルタイムでの高精度トラッキングと人間の目に近い視覚体験を可能にする最先端のセンサーテクノロジーを採用しています。

2023年11月に発表されたXR-4は、業界をリードするMR体験を提供し、航空宇宙、自動車、医療などの分野でのトレーニングやシミュレーションに革命をもたらします。

Varjo XR-4 公式ウェブサイト

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Varjo XR-4の特徴

ここからは、XR-4の主な5つの特徴を解説していきます。

1.最高レベルの解像度と鮮やかな色彩表現

解像度

XR-4の片眼あたりの解像度は3840×3744ピクセルで、これは従来のVRヘッドセットと比較して圧倒的に高い数値です。

例えば、VRヘッドセットの代表格である「Meta Quest 3」は2064×2208ピクセル、解像度の高さで知られるPimax社の最新モデル「Pimax Crystal」であっても2880×2880ピクセルです。

XR-4はそれらを大きく上回る解像度により、ユーザーは細部まで非常に鮮明な画像を体験でき、VR環境内でのテキスト読解や複雑なディテールの観察が格段に向上します。

色彩

また、XR-4は98%のsRGB(標準的なRGB色空間で、ウェブや多くのディスプレイで採用されている色範囲)と96%のDCI-P3(デジタルシネマで使用される広い色範囲をカバーする色空間)の色域をカバーしています。

これも一般的なVRデバイスが70%から80%のsRGB色域をカバーすることと比較して、よりリアルで鮮やかな色再現を可能にします。

加えて、200 nits(ニト、輝度を表す単位)の画面輝度は、屋内使用において明るくクリアな映像を保証し、特に明るい色やハイライトのディテールを精細に表現します。

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2.幅広い視野角とクリアに見える光学設計

視野角

XR-4は、120° x 105°の視野角(Field of View, FOV)を提供します。

これは、多くの主流VRデバイスが提供する約90°〜110°の視野角と比較して、視野の広がりと没入感が大幅に向上していることを意味します。(参考:Meta Quest 3は110°、Apple Vision Proは90°)

光学設計

また、XR-4はフルドームの非球面(aspheric)レンズを採用しています。

一般的なVRヘッドセットが使用する球面(spherical)レンズと比較して、非球面レンズは画像の歪みを大幅に減少させ、視野の端まで高い画質を維持することができます。

これは、レンズの形状がより複雑で、光の屈折を正確にコントロールしやすいためです。

これにより、XR-4は画像の中心だけでなく、周辺部でもクリアで歪みのない視覚体験を提供します。

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3.高精度なセンサーとアイトラッキング

XR-4は、300,000ピクセルのLiDARセンサーと200Hzで動作するアイトラッキング機能を搭載し、市場にある他のVRデバイスを大きく凌駕する高精度なトラッキング能力を提供します。

例えば、一般的なVRヘッドセットのアイトラッキングは、約60Hz〜120Hzの範囲で動作するものが多い中、XR-4の200Hzアイトラッキングは、その倍以上の速度でユーザーの目の動きを追跡し、より自然で直感的なインタラクションを実現します。

特に、300,000ピクセルのLiDARセンサーは、従来の光学式や赤外線センサーに比べて、より詳細な空間認識を可能にし、VR環境と実世界のオブジェクトをシームレスに統合します。

※LiDAR(Light Detection and Ranging)センサーは、光を用いて物体との距離を測定する技術。

また、アイトラッキングとLiDARセンサーを組み合わせることで、ユーザーの視線と物理的な動きを同時に追跡し、より精密なユーザーインターフェースの操作や、環境とのインタラクションを実現します。

4.幅広いプラットフォームとの高い互換性を持つ

XR-4は、開発者に高度な互換性と柔軟性を提供します。このデバイスはNVIDIAのGPUと完全に互換性があり、Unreal Engine、Unity、Autodesk VREDなど、市場で広く使用されている100種類以上のプロフェッショナルソフトウェアに対応しています。

一般的なVRヘッドセットが限られた数のアプリケーションや特定の開発環境にのみ対応しているのとは対照的に、XR-4は幅広いプラットフォームとの高い互換性を持ちます。

これにより、設計、シミュレーション、トレーニングなど、さまざまな業界の専門家が、既存のワークフローにXR-4をシームレスに統合し、リアルタイムでのフォトリアルなシーンのレンダリングや高度なビジュアルシミュレーションを実現できます。

5.現実とバーチャルの区別がつかないほど鮮明なパススルー映像

XR-4は、20メガピクセルのフロントマウントカメラを搭載し、業界先駆けの51 PPD(Pixels Per Degree、1度あたりのピクセル数)の解像度でのパススルー体験を提供します。

これは、一般的なVRヘッドセットが提供するパススルー解像度を大幅に上回り、実世界とバーチャルコンテンツの間の区別をほとんど感じさせないほどの鮮明さを実現します。

従来のデバイスが最大でも約15 PPD程度の解像度を提供する中、XR-4の51 PPDは、ユーザーが現実世界の細かい部分であってもバーチャル環境内でクリアに認識できることを意味し、精密作業やリアルタイムのインタラクションに革命をもたらします。

Varjo XR-4 分野ごとの活用方法

XR-4は、さまざまな業界においてその有効性を発揮することになると考えられます。

特に、高解像度と高精度のパススルー技術は、建築・建設、医療、航空宇宙産業など、細部にわたる精密さが求められる分野での活用が見込まれます。

1.「建築・建設」建物をバーチャルで再現して開発を効率化できる

建築・建設の分野では、XR-4の提供するリアルなビジュアライゼーションとインタラクティブなプロトタイピング能力により、デザインの検討から顧客へのプレゼンテーションまで、製品開発プロセスが効率化されます。

ユーザーは、細部までリアルに再現された仮想環境内で、建築物のデザインやインテリアの配置をリアルタイムで評価し、調整することができます。

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2.「医療」MR/VRで手術のシミュレーションやトレーニングが効率化する

医療分野では、XR-4は手術のシミュレーションや医療トレーニングに革命をもたらします。

高解像度とリアルタイムのパススルー技術により、医療従事者は実際の手術環境を模倣した状況下での手術手順を練習し、解剖学的な知識を深めることが可能になります。

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3.「航空宇宙」安全で効果的なVRトレーニングが可能になる

航空宇宙産業では、 XR-4を利用した高度なシミュレーショントレーニングが、パイロットやエンジニアの訓練に新たな次元をもたらします。

リアリスティックなビジュアルと精密なトラッキングにより、より安全で効果的なトレーニングが実現し、高いリスクを伴う操作の習熟度を向上させることができます。

これらの業界におけるシーンでXR-4が提供する、前例のないレベルの没入感とインタラクティブ性は、作業の効率化、訓練の品質向上、そして最終的には製品やサービスの質の向上に直結します。

XR-4は、これらの分野におけるイノベーションの加速器となることが期待されます。

ハイエンドモデルの紹介

ここでは、XR-4のハイエンドモデルを2つご紹介します。

1.XR-4 Focal Edition

「XR-4 Focal Edition」は、高解像度のパススルー機能と視線誘導型オートフォーカスカメラを搭載し、ユーザーが見ている対象に応じて焦点を自動的に調整します。

この機能により、ユーザーは仮想環境と現実世界のオブジェクトの両方を、自然な視界で見ることができるようになります。

このモデルは、特に航空訓練や複雑な機械操作のシミュレーションなど、高度な精密さが求められる分野での使用に適しています。

2.XR-4 Secure Edition

「XR-4 Secure Edition」は、政府や軍事用途に特化しており、高いセキュリティ基準を満たす設計が施されています。

このモデルは、インターネット接続や外部デバイスとの通信が制限され、高度なデータ保護とプライバシーが保証されています。

また、TAA(Trade Agreements Act)準拠の製造プロセスにより、政府機関による調達要件を満たす品質と信頼性を提供します。

価格・購入方法

XR-4及びハイエンドモデルの価格は以下のとおりです。

XR-4XR-4 Focal EditionXR-4 Secure Edition
価格3,990ユーロ(約64万円)9,990ユーロ(約161万円)注文不可能(政府や軍事向け)

競合である産業用MRヘッドセットのMeta Quest Proが159,500円、Hololens2が422,180円ということを踏まえると、かなり高い価格設定となっています。

日本ではエルザジャパンから購入することができます。

エルザジャパン XR-4 製品サイト

評判・レビュー

XR-4を体験したユーザーの多くが、その解像度の高さに驚いています。

スペック詳細

XR-4のスペックは以下のとおりです。

ディスプレイ
パネル解像度4K
パネルタイプ2 x 3.59” Mini-LED
リフレッシュレート90Hz
輝度200 Nits
色域98% sRGB, 96% DCI-P3
光学系
レンズタイプCustom, variable resolution, full dome, aspheric optics
PPD51PPD
視野角120° × 105°
IPD(瞳孔間距離)自動調節 56-72 mm
パススルー
イメージセンサー2x 20-megapixel passthrough cameras
パススルーPPD33PPD
重量1021g
LIDAR300,000 pixels, 7meter range, 30 FPS
アイトラッキングIntegrated 200hz gaze tracking cameras

まとめ

今回は、最高クラスの解像度を誇る「Varjo XR-4」について解説しました。

XR-4は最低価格が64万円と非常に高いですが、間違いなく現状トップレベルのMRヘッドセットです。

今後、一般消費者に向けて発売される可能性もあるため、続報に期待しましょう。