【VIVE XR Elite】275gの超軽量XRヘッドセットを徹底解説!

2024年2月に発売された「Apple Vision Pro」がXR業界を大いに盛り上げていますが、Vision Proの他にも高性能なXRデバイスはたくさんあります。

この記事では、XR技術の最前線にある「VIVE XR Elite」の特徴やできること、他のXRデバイスとの比較をしていこうと思います。

※この記事は2024年2月14日時点の情報をもとに書かれたものです。

VIVE XR Eliteとは

VIVE XR Elite(以下、XR Elite)は、台湾のHTC社が開発したXRデバイスです。日本では2023年4月3日に発売されました。

HTC社は2016年に初代VIVEを発売して以来、さまざまなXRデバイスをリリースしてきました。XR Eliteは、その中でも最も先進的なモデルです。

パワフルかつ折りたためる超軽量ヘッドセットとして、CES 2023とMWC 2023で最も評価されたXRデバイスとして注目されています。

XR Elite 公式動画

XR Elite公式ウェブサイト

その他のXRデバイスについて知りたい方はこちら↓

XR Eliteの特徴

ここでは、XR Eliteの主な5つの特徴について解説していきます。

1. 軽量かつコンパクトなので、長時間の使用も快適

XR Elite(画面左)とFocus 3(画面右)の比較

XR Eliteはパンケーキレンズという薄型のレンズを採用しており、従来のVRデバイスよりもかなりコンパクトです。

上の画像は、同社のVIVEシリーズの製品「VIVE Focus 3」(フレネルレンズを採用、画面右)との比較をしたものです。正面部を比べると、XR Elite(画面左)の方が薄いことがわかります。

バッテリー有り(画面右)とグラスモード(画面左)の比較

また、重量に関しては、バッテリー装着状態(画面右)では625gと他のXRデバイスと同程度ですが、後部のバッテリーを外したグラスモード(画面左)だと275gと非常に軽量です。

これにより、長時間の使用でも疲れにくく、持ち運びや収納も便利です。

このグラスモードに関して、一部ファンの間では、「ベッドで寝転んでVR体験するには最適だ」という声もあります。

2. 鮮明なフルカラーパススルーで、装着したままスマホ操作ができる

XR Eliteは、1600万画素のカラーパススルーカメラを搭載しています。

このカメラによって、現実の風景を鮮明に映し出すことができ、XR Eliteをつけたままスマホを操作したりコーヒーを飲むこともできます。

解像度は両眼3,840×1,920で、他のVRヘッドセット(Meta Quest 3:4,128×2,208、PICO 4:4,320×2,160)と比べるとやや低い数値といえます。

Meta Quest 3とPICO 4の記事はこちら↓

3. 1台でVR・MR・ARの全てを体験できる

Welcome to the Vive Sync Open Beta | VIVE Blog

XR Eliteは、VRやARはもとより、MRまでも対応しています。

VRでは、ゲームや映画などのエンタメコンテンツ、MRでは、現実と仮想の世界を融合させて教育や医療などの分野で活用できます。(後で詳しく説明します。)

例えば、VIVE Syncというアプリを使えば、仮想の会議室に集まって、コミュニケーションやプレゼンテーションができます。

4. 視度補正機能・IPD調節機能であらゆる人に合わせた視聴環境を実現

視度調整ダイヤルを調整する

XR Eliteは、視度補正機能・IPD調節機能を持っています。

視度補正機能は、片目ずつダイアルを回すことで、6段階の近視矯正が可能です。

また、右レンズの下にあるダイヤルを回すことで、54~73mmの間での無段階のIPD調節が可能です。

※IPD調節機能とは、自身のIPD(瞳孔間距離)に沿って、レンズの間隔やディスプレイの表示領域を調整することで、左目の映像と右目の映像を各個人に最適な形で立体表示されるように調節することです。

IPD調節により、目に負担が少なく、快適なVR体験が可能になります。

これにより、一人ひとりに合わせた視聴環境を実現できます。

5.PC接続することで低遅延・高解像度の体験が可能

XR Eliteは、インサイドアウト方式の 6DoF トラッキングシステムのため、ベースステーションは不要です。

単体でも動作するスタンドアロン型ヘッドセットとしても十分に遊べますが、PCと接続することで低遅延のPCVRゲームを楽しめます。

接続方法は、有線(別売りの専用ケーブル)と無線(Wi-Fi 6E)の2種類です。

上の画像のように、動的ビットレートがネットワーク環境に適応し、最適な解像度とリフレッシュレートを提供します。

PCVRで遊ぶためには、Steam VRに加えて「VIVE Streaming」という専用インストーラのダウンロードが必要です。

VIVE XR Eliteでできること

ここでは、XR Eliteでできる6つのことについて解説していきます。

1.月額600~1500円で数百種類のゲームやアプリが遊び放題

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XR Eliteでは、豊富なゲームコンテンツを楽しめます。VIVEPORTというサブスクリプションサービスに加入することで、月額600~1500円で数百種類のゲームやアプリが遊び放題です。PC接続すればさらに多くのゲームが遊べます。

2.360度映画や3D動画が楽しめる

VIVEPORT Video

XR Eliteでは、映画や動画も楽しめます。VIVEPORT Videoというアプリを使えば、360度動画や3D動画などのコンテンツが視聴できます。

また、NetflixやYouTubeなどのサービスも利用できます 。大画面や立体音響などの効果を再現しており、家の中でも映画館で見ているような迫力ある体験ができます。

3.仮想空間に集まって学習や交流ができる

XR Eliteは、教育にも役立ちます。VIVE XR Suiteというアプリを使えば、VIVE XR Eliteで仮想空間の教室に集まって、学習や交流ができます。

また、VIVEPORTには、歴史や科学などの教育コンテンツもあります。

例えば「Ancient Rome VR」というアプリでは、古代ローマの街並みや文化を体験できます。

4.医療系コンテンツで実践的に知識を得る

The Body VR

XR Eliteは、医療にも活用できます。VIVEPORTには、人間の体内を探検したり、臓器や細胞を観察したりすることができるコンテンツがあります。

例えば「The Body VR」というアプリでは、血液や免疫系などの体内システムを探検できます。

5.スキルトレーニングやリモートでの共同作業をサポート

VIVEは、ビジネス向けVRソリューション「VIVE BUSINESS」を提供しています。

VIVE BUSINESSを利用することで、トレーニング、プロトタイピング、リモートコラボレーションといった多岐にわたることが実現できます。

具体的には、従業員のスキル向上のための仮想現実トレーニングや、製品開発の過程での3Dプロトタイピング、さらには地理的な制約を超えたリモートでのミーティングや共同作業が可能になります。

これにより、時間とコストを削減しながら、効率的かつ革新的な方法でビジネスプロセスを推進することができます。

6.メタバース空間「VIVERSE」で教育・エンタメ・社交活動

「VIVERSE」は、VIVEが提供するメタバースプラットフォームです。

VIVERSEでは、ユーザーは自分のアバターを作成し、教育、エンターテイメント、社交活動など、様々なバーチャル体験を楽しむことが可能です。

例えば、バーチャルコンサートや展示会への参加、オンラインクラスでの学習、さらには友人や家族とのバーチャルな集まりなど、リアルタイムでの共有体験が広がりを見せています。

また、ブロックチェーン技術を活用したデジタルアセットの所有権保護や、NFT(非代替性トークン)を用いた独自のアイテム取引も特徴の一つです。

このような技術を駆使することで、ユーザーは安全かつ自由にバーチャル世界での活動を楽しむことができます。

VIVERSEの他にも、VRChatで遊ぶことも可能です。

周辺機器の紹介

ここからは、XR Eliteの体験をさらに高める周辺機器について解説していきます。

1.Ultimateトラッカー

Ultimateトラッカーは、手足や腰に装着することで、その動きをリアルタイムでVR空間に反映させることができ、没入感を大幅に向上させることが可能なトラッカーです。価格は1つ31,000円です。

特に、VRゲームやトレーニングプログラムにおいて、このUltimateトラッカーはその真価を発揮します。

例えば、スポーツトレーニングのシミュレーションでは、選手の動きを細かく捉えることで、より効果的なフィードバックが可能になります。

なお、Ultimateトラッカーを使用するには、次に紹介する「VIVEワイヤレスドングル」が必須となります。

2.VIVEワイヤレスドングル

VIVEワイヤレスドングルは、先ほど紹介したUltimateトラッカーを使用する上で欠かせない製品です。価格は6,100円です。

上の画像のように、ドングルをヘッドセット後部に挿すことで、XR EliteとUltimateトラッカーをワイヤレスで接続し、最高のトラッキングとVR体験を提供します。

3.フェイシャルトラッカー

VIVEフェイシャルトラッカーは、VIVE XR Eliteにアイトラッキングとフェイストラッキングを追加するトラッカーです。価格は31,000円です。

このトラッカーは、38の顔の動きを精密に追跡し、微細な表情の変化までバーチャルアバターに反映させることができます。

VRミーティングやバーチャルソーシャルイベント、オンライン教育など、様々な用途でリアリズムと没入感を高めることができます。

たとえば、遠隔地にいるチームメンバーとのミーティングでは、参加者の微妙な表情やジェスチャーを読み取ることで、コミュニケーションの質を向上させることが可能です。

また、フェイシャルトラッカーは、エンターテインメントの分野でも革新をもたらします。

VRChatをはじめとするメタバースにおいて、プレイヤーの表情をゲーム内のキャラクターに直接反映させることで、ゲームプレイの没入感とリアリズムを大きく向上させることができます。

4.ストリーミングケーブル

こちらのストリーミングケーブルはXR EliteとPCを有線で繋ぐ場合に必要な製品です。価格は11,000円です。

ストリーミングケーブルでPCと接続することで、低遅延かつ高品質なグラフィックでVR体験をすることができます。

5.MRガスケット

MRガスケットは、顔とレンズの間に取り付けることでフィット感を高め、周辺視野を広げることができる製品です。価格は3,890円(2個入り)です。

正面上部分に磁気で簡単に着脱可能です。また、顔とレンズの間にスペースが生まれることで、メガネをかけたまま使用することができます。

価格・購入方法

XR Eliteの価格は、179,000円(税別)です。
HTC社の公式サイトやAmazonなどのオンラインショップで購入できます。また、一部の家電量販店やゲームショップでも取り扱っています。

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スペックまとめ

ここからは、XR Eliteと他のVRヘッドセットの比較に入っていきます。以下が各項目をまとめた表になります。

項目VIVE XR EliteMeta Quest ProMeta Quest 3PICO4
発売日2023/4/32022/10/262020/9/172022/10/7
価格179,000円159,500円74,800円(128GB)
96,800円(512GB)
49,000円(128GB)
59,400円(256GB)
パススルー映像フルカラーフルカラーフルカラーフルカラー
VR/MR対応VR/MR両対応VR/MR両対応VR/MR両対応VRのみ
解像度(片目)1,920×1,9201,832×1,9202,064×2,2082,160×2,160
視野角110度106度110度105度
リフレッシュレート最大90Hz最大120Hz最大120Hz最大90Hz
ストレージ容量128GB256GB128,512GB128,256GB
重量バッテリー込みで625g
バッテリーなしで275g
722g515g580g

解像度についてはXR EliteよりもMeta Quest 3やPICO 4の方が優れていますが、その差はあまり大きいとはいえません。

一方で、重量に関しては、XR Eliteの275g(バッテリーなし)が他と比べて圧倒的に軽いことがわかります。

このことから、VRChatのようなメタバースプラットフォームの長時間使用を想定しているユーザーにとっては、軽量かつコンパクトなXR Eliteが最適な選択と言えるでしょう。

評判・レビュー

XR Eliteは、発売されたばかりですが、すでに多くの人々から高い評価を得ています。

後部バッテリーを外してグラスモードにして寝転び、何時間もVRChatの世界に没入する、というのがおすすめの使い方のようです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

VIVE XR Eliteは、軽量かつコンパクトでVR/AR/MRの全てに対応したオールインワンのXRヘッドセットです。

興味がある方はぜひ購入して試してみてはいかがでしょうか。