AR/VR/MR/SR/XRの違いと特徴|活用事例・強み/弱み、Spatial Computingとの違いも解説
昨今流行っているAR(拡張現実)とVR(仮想現実)は、非常に認知度が高くなってきています。
ただ、他にもMR(複合現実)やSR(代替現実)など『○R』の概念や言葉は常に生まれてきています。
そこで、本記事では、○Rの概要、利用方法、現在の課題、そして今後の展望について詳しく解説します。
- 1. AR/VR/MR/SR/XRの概要
- 1.1. ARの基本概念
- 1.1.1. ARの特徴
- 1.1.2. ARの応用例
- 1.1.3. ARの課題と展望
- 1.2. VRの基本概念
- 1.2.1. VRの特徴
- 1.2.2. VRの応用例
- 1.2.3. VRの課題と展開
- 1.3. MRの基本概念
- 1.3.1. MRの主な特徴
- 1.3.2. MRの応用例
- 1.3.3. MRの課題と展望
- 1.4. SRの基本概念
- 1.4.1. SRの特徴
- 1.4.2. SRの応用例
- 1.4.3. SRの課題と展望
- 1.5. XRの基本概念
- 1.5.1. XRの特徴
- 1.5.2. XRの応用例
- 1.5.3. XRの課題と未来の展望
- 1.6. XR活用や開発に関する相談先
- 2. AR/VR/MR/SRのそれぞれの強みと弱み
- 2.1. ARの強みと弱み
- 2.1.1. ARの強み
- 2.1.2. ARの弱み
- 2.2. VRの強みと弱み
- 2.2.1. VRの強み
- 2.2.2. VRの弱み
- 2.3. MRの強みと弱み
- 2.3.1. MRの強み
- 2.3.2. MRの弱み
- 2.4. SRの強みと弱み
- 2.4.1. SRの強み
- 2.4.2. SRの弱み
- 3. AR/VR/MR/SRの共通点
- 4. Spatial Computingとの違い
- 5. まとめ
AR/VR/MR/SR/XRの概要
ARの基本概念
AR(Augmented Reality, 拡張現実)とは、スマートフォンやタブレット、サングラス型のARグラスを通して見ることで、現実世界にデジタルコンテンツを重ね合わせて、現実世界を拡張する技術です。
AR技術は、カメラやセンサーを使って現実世界の画像を認識し、その上にデジタル情報を重ねて表示します。
例えば、スマートフォンで街を映すと、お店の情報や周辺の施設が表示されるといった機能がAR技術によって実現されています。
ARの特徴
VRとの違いは現実世界が主体である点で、現実世界に対して一部デジタル情報を重畳させることで、現実世界の利便性や体験性を高める技術として使われます。
- 即時性と利便性: スマートフォンやタブレットなどの手軽なデバイスで利用可能。
- 情報の重ね合わせ: 現実の風景に情報を重ねて表示し、ユーザーに直感的な情報提供を行います。
- 幅広い用途:日常生活から観光案内、教育、医療、 ゲームなどで幅広く利用されています。
ARの応用例
ポケモンGOやGoogleマップのライブビューは、現実世界にデジタル情報を重ねて表示する代表的なARアプリです。
また、家具販売やインテリア設計では、配置シミュレーションにARが活用されています。
国内最大手の家具メーカー・ニトリのオンラインショップにもARが導入され、多くの商品をARで試し置きすることができます。
ニュースリリース:https://www.nitorihd.co.jp/news/items/6bdf4f6c09f668199cce49aa04760eb3.pdf
「スマホで簡単!3Dで試し置き」導⼊によりご⾃宅でも店頭でも、気になる商品を実⼨⼤で確認することができ、お客様に便利で快適な買い物環境をご提供いたします。
と発表しており、ECだけでなく、店舗でも在庫のない商品をARで実寸台表示し、お客様が確認できるようになるとのことです。
※ニトリは、株式会社Forgersが提供するARサービス「RITTAI」を導入しています。
EC・店舗でのAR活用事例まとめ記事はこちら ⇒ 家具選びがARで変わる?EC・店舗での最新活用事例や導入効果
ARの課題と展望
ARで表示する情報量の多さをどのように制限するかという点や、AR使用時のバッテリーの消費量などがARの主な課題と言われます。
あくまで現在のスマホやスマートグラスなどは、端末の画面サイズや視野角などの制約により、バーチャル情報を表示できる範囲が決まっています。
そのため、ARで表示させる情報が多くなればなるほど、現実世界が見にくくなってしまいます。
また、ARの体験を提供するためには自己位置推定やAR表示の制御などをしないといけないため、端末上での処理が重くなりがちで、その分バッテリーを食ってしまうという課題があります。
※関連記事:ARとは?定義・技術の仕組み・VR/MRとの違い・ビジネス事例などを解説
VRの基本概念
VR(Virtual Reality, 仮想現実)は、ユーザーを完全に仮想の世界に没入させる技術です。
専用のヘッドセットを装着することで、360度の仮想環境に入り込み、現実世界とは異なる体験を楽しむことができます。
※関連記事:VRとは何か?仮想現実の仕組みと活用事例を徹底解説
VRの特徴
一般的には現実と切り離された、全てが仮想情報で作られた空間体験のことをVRと言います。
視覚だけでなく、聴覚や触覚も使ったより質の高いVR体験を実現するための技術開発も進められています(触覚デバイスや立体音響など)
- 没入感: ユーザーは現実の世界から切り離され、完全に仮想の環境に没入します。
- インタラクティブ性: ユーザーは仮想世界の中で自由に動き回り、様々な操作が可能です。
- 多様な用途: エンターテイメント、教育、医療、トレーニングなど多岐にわたる分野で利用されています。
VRの応用例
VRは現実とは全く異なる体験をできるため、ゲームやコミュニティ活動、仮想旅行において非常に人気があります。
VRゲームに関する記事はこちら⇒【2024年版】絶対に遊ぶべき最新VRゲーム15選|VRゲームに必要な機材や選び方なども解説
また、日頃頻繁に体験できない、再現できないような状況を作り上げることにも向いているため、医療分野では手術のシミュレーションやトレーニングに利用されており、安全な環境での実習を行っています。
医療業界でのVR活用について:【医療分野におけるAR/MR/VR】導入メリットや活用事例を紹介!
VRの課題と展開
VRの課題には、ハードウェアの高コスト、ヘッドセットの重量が大きく、長時間使用時の疲労感などがあります。
特に最近ではVR端末だけでVR体験が出来るように、スタンドアロンの端末も増えてきています。
VR端末だけで処理ができるということは、チップやGPUなどが全てVR端末側に搭載されているということになり、必然的に端末も重くなってしまうのです。
しかし、技術の進化により、これらの課題は徐々に解決されつつあり、今後はさらにリアルな仮想体験が提供されることが期待されています。
MRの基本概念
MR(Mixed Reality, 複合現実)は、ARとVRを融合させた技術で、現実世界と仮想世界をシームレスに結びつけます。
特にARとの明確な線引きはないのですが、一般的にはARの方が現実:仮想の比率が現実が高く、MRの方が現実:仮想の比率が半々か仮想の方が高い時に使い分ける印象です。もしくはデバイス側がARと言っているかMRと言っているかによっても変わってきます。
つまり、状況によっては同義な用語として使われることもあります。
例えば、教育現場でMRを使用することで、学生は実際の教室に仮想の化学実験を表示し、実際に手を使って操作することができます。
MRの主な特徴
- リアルタイムのインタラクション: ユーザーは現実世界の物理オブジェクトと仮想オブジェクトを同時に操作できます。
- 高度な空間認識: MRデバイスは周囲の環境を認識し、仮想オブジェクトを現実の空間に自然に配置します。
- 用途の広がり: 教育、医療、エンターテイメントなど多くの分野で利用されています。
MRの応用例
教育分野では、MRを使って歴史的な遺跡や科学実験を仮想的に再現することが可能です。
医療分野では、手術のシミュレーションやリハビリテーションの補助として活用され、製造業では遠隔地からの指示やサポートが実現しています。
製造業でのMR活用の記事はこちら ⇒【製造業・工場のAR/MR/VR活用事例】メリットや導入のポイントを解説
MRの課題と展望
MRはまだ発展途上の技術であり、ハードウェアの制約による体験性の向上の難しさが特にあげられます。
端末によっても性能が異なったり表現も最適化する必要があるので、コンテンツ開発が難しいです。
しかし、技術の進化とともに、MRはさらに多くの分野での利用が期待されています。特に、リモートワークや遠隔教育において、MRは重要な役割を果たすことが期待されています。
SRの基本概念
SR(Substitutional Reality, 代替現実)は、現実の記憶や体験を仮想的に再構成し、ユーザーに新たな視点からそれらを体験させる技術です。例えば、特定の風景を異なる風景に置き換えたり、特定の物体を仮想物体に変えたりします。
これは、ユーザーが過去の出来事を新たな視点で体験することを可能にし、現実と仮想の境界を曖昧にすることで、現実の一部を仮想の要素で置き換える技術です。
SRの特徴
- 記憶の再構成: 過去の体験や記憶を仮想的に再現し、新たな視点から再体験させます。
- 現実と仮想の融合: 現実の一部を仮想の要素で置き換えることで、ユーザーに新たな現実感を提供します。
- 心理的影響: 現実の記憶や体験に基づいているため、ユーザーに強い心理的影響を与えることができます。
SRの応用例
- 心理療法: 過去のトラウマや不安を再体験し、新たな視点からそれらを克服するための治療法として利用されます。例えば、恐怖症の治療やPTSDの緩和に役立ちます。
- 教育: 歴史的な出来事を新たな視点から体験することで、学生に深い理解と共感を促します。例えば、戦場の体験を仮想的に再現し、戦争の現実を理解させることができます。
- エンターテイメント: 映画やゲームで、過去のシーンを新たな視点から再体験することで、ユーザーに新しいストーリーテリングを提供します。
SRの課題と展望
課題: SR技術は、記憶や体験の再構成に高度な技術を必要とし、その精度やリアリティが課題となります。また、ユーザーの心理的影響を慎重に扱う必要があります。
未来の展望: 技術の進化により、SRはより精度の高い記憶の再現が可能になり、教育、心理療法、エンターテイメントなどの分野での利用が拡大するでしょう。特に、AIと連携することで、個々のユーザーに最適化された体験を提供することが期待されます。
XRの基本概念
XR(Extended Reality)は、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)、MR(複合現実)を包括する総称であり、これらの技術を組み合わせて拡張した現実体験を提供します。XRは、現実世界と仮想世界を統合し、ユーザーに様々なレベルの没入感を提供します。
XRの特徴
- 包括的な技術: AR、VR、MRの全てを含む技術であり、ユーザーに広範な体験を提供します。
- 柔軟な適用性: 様々なデバイスやプラットフォームで利用可能です。
- 高いカスタマイズ性: ユーザーのニーズに合わせて、体験のレベルや内容をカスタマイズできます。
XRの応用例
- 教育: 教材に仮想コンテンツを統合し、インタラクティブな学習体験を提供します。学生は仮想環境で実験やシミュレーションを行うことができます。
- ビジネス: リモートワークや仮想会議において、参加者が同じ仮想空間でコラボレーションすることが可能です。また、製品デザインやプロトタイピングにおいても活用されます。
- エンターテイメント: ゲームや仮想イベント、ライブコンサートなどで、ユーザーに没入感のある体験を提供します。
XRの課題と未来の展望
課題: XR技術の普及には、高価なハードウェアや高性能なソフトウェアが必要であり、コストが障壁となっています。また、ユーザーのプライバシーとデータセキュリティも重要な課題です。
未来の展望: 技術の進化と共に、XRはより多くの人々にとってアクセス可能になり、広範な分野での応用が進むと予想されます。特に、5G技術の普及により、リアルタイムの高品質なXR体験が可能になり、教育、医療、エンターテイメントなどの分野で新たなイノベーションが期待されます。
XR活用や開発に関する相談先
当メディア運営元・株式会社ForgersはNTTドコモやニトリをはじめ、多数の大手企業のXR開発や導入を支援しています。
AR・VRはもちろん、MRの開発などXRに関して多岐にわたる開発をご支援してきました。
また、NTTグループのXR企業・NTTコノキュー社と共に歯科業界の人手不足を解消する遠隔医療支援サービス「Project the Hands」を開発したり、自動車部品のグローバルサプライヤー・アイシン社に、3D/デジタルマニュアルソリューション「RITTAI MANUALを提供するなど、製造業向けの支援も行っています。
少しでも気になる方は、無料で相談承っておりますのでぜひご相談ください。
AR/VR/MR/SRのそれぞれの強みと弱み
ARの強みと弱み
ARの強み
- 現実世界の強化: 現実世界にデジタル情報を重ねることで、ユーザーは追加の情報やコンテンツを直感的に利用できます。
- 日常デバイスで利用可能: スマートフォンやタブレットなど、普段使いのデバイスで手軽に体験できるため、導入のハードルが低いです。
- 幅広い応用範囲: ゲーム、教育、医療、ショッピングなど多岐にわたる分野で利用されています。
ARの弱み
- デバイス依存: スマートフォンやタブレットの性能に依存するため、デバイスの限界が体験の質に影響します。
- バッテリー消耗: 高い処理能力が必要なため、デバイスのバッテリー消耗が早くなります。
- 精度の問題: 現実とデジタル情報の精度や同期に課題があり、特に高速な動きや細かい操作が必要なシナリオでは問題が生じることがあります。
VRの強みと弱み
VRの強み
- 高い没入感: 完全に仮想の環境に没入できるため、ユーザーは現実を忘れるほどの体験が可能です。
- 豊富なインタラクション: 仮想世界内で自由に動き回り、さまざまなインタラクションが可能です。
- 多用途: ゲーム、仮想旅行、トレーニングシミュレーションなど、多様な用途で利用されています。
VRの弱み
- 高コスト: 高品質のVR体験には高価なハードウェアが必要です。
- 重量と疲労: 長時間の使用はヘッドセットの重量や視覚疲労の問題を引き起こすことがあります。
- 物理的な制約: ユーザーが仮想世界内で動き回るため、物理的なスペースが必要です。
MRの強みと弱み
MRの強み
- シームレスな統合: 現実世界と仮想世界をシームレスに統合し、ユーザーが両方の世界と自然にインタラクションできる体験を提供します。
- 高度な空間認識: 仮想オブジェクトが現実の環境に自然に配置されるため、リアリティが高いです。
- 多様な応用: 教育、医療、設計、エンターテイメントなど多岐にわたる分野で利用されています。
MRの弱み
- 高コスト: 高度なデバイスが必要であり、その導入コストが高いです。
- 技術の複雑さ: 高度な空間認識とコンテンツ制作技術が必要なため、開発が難しいです。
- 制約された利用環境: 環境の複雑さや光の条件などに影響を受けやすいです。
SRの強みと弱み
SRの強み
- 記憶の再構成: 過去の記憶や体験を新たな視点から再構成し、ユーザーに再体験させることができます。これにより、特定の出来事や状況を新たな観点で理解することが可能です。
- 心理的治療: トラウマや恐怖症の治療に有効であり、患者が安全な環境で過去の体験に向き合い、克服する手助けとなります。
- 教育的価値: 歴史的な出来事や特定の体験を仮想的に再現することで、学生が深い理解と共感を得ることができます。
- エンターテイメントの新しい形: 映画やゲームで、過去のシーンを新たな視点から再体験することで、ユーザーに新しいストーリーテリングを提供します。
SRの弱み
- 技術的な複雑さ: 記憶や体験の再構成には高度な技術が必要であり、その実現には多くのリソースが必要です。
- 心理的影響: ユーザーが過去のトラウマやストレスを再体験する際、慎重に扱わないと逆効果となる可能性があります。適切なカウンセリングやサポートが不可欠です。
- 高コスト: 高度なシミュレーション技術とデータ処理能力が必要であり、実現には高いコストが伴います。
- ユーザーのプライバシー: ユーザーの記憶や個人的な体験を扱うため、プライバシーとデータ保護の観点で慎重な対応が求められます。
AR/VR/MR/SRの共通点
AR、VR、MR、SRは全て、デジタル技術を駆使してユーザー体験を革新することを目的としています。
これらの技術は、ユーザーに新しい視覚的体験を提供し、物理的な現実を超越したインタラクティブな体験を実現します。
また、これらの技術は教育、医療、エンターテイメント、ビジネスなど、多様な分野で応用されており、日常生活や業務における情報伝達や学習をより効果的にしています。
Spatial Computingとの違い
Apple Vision ProはMRやVRデバイスとは言わず、Spatial Computingデバイスと言われています。
これは意図的にAppleが表現として使っており、既存のMRやVRとは次元が違うことを意図しています。
そのため、Apple Vision Proに対してMRやVRという表現を使ってはいけない、とApple公式から声明が出されています。
Spatial Computingは、名前の通り空間コンピューティングと言い、3D表現が中心となるコンピューティングの形態です。
Appleが使っている言葉なので、追従するデバイスが今後出てくるでしょう。
まとめ
これまで説明した○R技術は、デジタル技術を駆使してユーザー体験を革新し、教育、医療、エンターテイメント、ビジネスなど多様な分野での利用が進んでいます。
技術の進化とともに、これらの「○R」技術はさらに発展し、私たちの生活や仕事における情報伝達や学習をより効果的にすることが期待されます。
今後も新たな応用と技術の進化に注目し、それぞれの技術の可能性を最大限に引き出していくことが重要です。
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