【現場の人手不足解消!】建築・建設業界のVR/メタバース安全教育の事例5選 

建築・建設業の人手不足が深刻化する中、特にしわ寄せを受けやすいのが安全教育です。

本記事では、VR・バーチャル・メタバースといった建設DXの技術を活用した安全教育について、現場の課題と解決策を事例とともに解説します。

深刻化する建築・建設業の人手不足


就業者数の減少と高齢化の実態

建築・建設業の就業者数は、1997年のピークから減少を続けています。現在は500万人を割り込みました。

年齢構成を見ると、55歳以上が36.6%を占める一方、29歳以下はわずか11.9%にとどまります。

このままでは、今後10年で多くのベテランが引退する見通しです。

人手不足の背景と「2024年問題」

人手不足の背景には、少子高齢化があります。それに加え、「きつい・汚い・危険」という3Kのイメージや、休日の少なさ・給与体系の分かりにくさといった労働環境の課題も重なっています。

さらに、時間外労働の上限規制による「建設業の2024年問題」も重なりました。

その結果、工期・生産性・教育の質を同時に確保することが、一層難しくなっています。

だからこそ、ベテランの「経験の継承」も、前提として成り立ちにくくなっているのです。

なぜ安全教育は難しいのか

座学中心の教育で伝わりにくい「危険のリアリティ」

危険な場面は、言葉や映像でも伝えられます。

しかし、実際に足がすくむような感覚を伴わなければ、記憶には残りにくいという難しさがあります。

頭では理解していても、いざ現場で同じ状況に直面したときに、とっさに体が反応できるかどうかは別問題です。

指導者の経験に支えられてきた安全教育

これまで安全教育の多くは、現場を知り尽くしたベテラン指導者の経験や話術によって支えられてきました。

だからこそ、世代交代が進むタイミングでは、これまでと同じ質を保ち続けるための工夫が必要になります。

教える人によって伝え方や重点の置き方が変わるのも、自然なことといえます。

教育に割ける時間や体制の確保

外国人労働者の受け入れなど、教育すべき対象や内容は年々広がっています。

限られた時間の中で、資料の整備や受講記録の管理まで手が回りにくいと感じている現場も少なくありません。

工期を優先せざるを得ない状況では、教育の頻度や深さにばらつきが出やすいのも無理はないことです。

他業界でのVR/ARの安全教育における活用を知りたい方は

こちら→VR/ARで実現する革新的な安全教育|製造・建設・物流業の事例・費用

VR・メタバースの建築・建設DXで解決できること

危険を「体感」して記憶に刻む

VRゴーグルを装着すると、視界が完全に覆われます。

その状態で、墜落や土砂崩れといった重大事故を、被災者目線で疑似体験できます。

いわゆる「危険体感教育」です。

恐怖心をともなうリアルな体験は、座学だけでは届きにくかった安全意識の定着につながります。

実写やビデオでは得られない没入感が、「わかっている」から「体で覚えている」へと、安全意識の質そのものを変えていきます。

VRについて詳しく知りたい方や建設業界における更なる活用を知りたい方はこちら→

VRとは何か?仮想現実の仕組みやAR/MRとの違いなどを広く解説

【設計や施工シミュレーションにも活用!】建築・建設業界のVR/メタバース活用事例|導入のメリットやポイントを解説!

時間や場所を選ばず、誰が教えても同じ品質に

一度用意したVR教材は、指導者のスケジュールに関わらず、現場の空き時間に繰り返し活用できます。

そのため、教える人による差が出にくく、教育内容を標準化しやすいのも大きな利点です。

さらに、対角5メートル程度のスペースがあれば実施できるサービスも多く、狭い現場事務所でも導入しやすいのが特徴です。

バーチャル空間なら記録・共有もしやすい

受講履歴をデータとして残せるため、安全教育の実施記録としても活用できます。

また、メタバース空間を使えば、複数拠点の作業員が同時に同じ体験を共有することもでき、建設DXの一環として教育のあり方そのものをアップデートできます。

受講状況を可視化できれば、監督署への説明や社内での教育計画の見直しもスムーズになります。

最新のマニュアル・手順書に興味、ご関心のある方は

こちら→3Dマニュアル・手順書の作成と利用方法-技術継承や業務効率化ツール

VR安全教育の事例5選

ここからは建築・建設業で実際に行われているVR安全教育を事例として5つ紹介します。

Forgers:3D/ARマニュアルで実現する安全な作業手順の伝承「RITTAI MANUAL」

VRによる危険体感教育とあわせて注目したいのが、3D/ARで安全な作業手順そのものを「見える化」するアプローチです。

私たちForgersが提供する「RITTAI MANUAL」は、3Dデータや動画を使ったデジタルマニュアルツールで、スマートフォン・タブレットに加えてARグラス・スマートグラスにも対応しています。建設現場の安全教育では、以下のような効果につながります。

  1. 危険箇所の直感的な把握:3Dモデルで配管・配筋などの位置関係を立体的に確認できるため、思わぬ接触や誤操作といった危険を事前に把握しやすくなります。
  2. 安全な作業手順の伝承をスピードアップ:ベテランの安全な作業手順をそのまま3Dマニュアル化しておけば、指導者がつきっきりでなくても、若手が自分のペースで繰り返し確認しながら安全に習得できます。
  3. 現地でのぶっつけ本番作業を減らす:大型設備の設置前にARで施工イメージを現地で確認できるため、想定外の事態による事故リスクを減らせます。

すでに大手自動車部品メーカーや建材メーカーなどへの提供実績があります。

現場ではスマートグラスで「ながら確認」も可能

RITTAI MANUALは音声入力にも対応しており、Vuzixをはじめ各種スマートグラス・ARグラスにも対応しています。

ヘルメットに装着したスマートグラス越しに手順書を表示できるため、両手がふさがる現場作業でも手を止めずに安全手順を確認でき、事故防止と技能伝承を同時に実現できます。

  • 製造・インフラ・建設業界向け3Dマニュアルツール「RITTAI MANUAL」はこちら

また、製造業・建設業で活用できるスマートグラスの事例は、製造業・建設業のスマートグラス×遠隔支援|最新事例とメーカー・価格一覧にまとめています。よろしければあわせてご覧ください。

NTTテクノクロス:86%が「事故が怖くなった」と回答

NTTテクノクロスが提供するVR安全教育サービスでは、墜落や感電などの重大事故を再現した14件の事故事例コンテンツを定額で利用でき、法令改正に合わせて随時アップデートされています。

NTTグループの工事関係者1万名以上を対象とした研修では、体験者の86%が「VR体験前より事故が怖くなった」と回答しており、恐怖心を実感することが事故防止意識の向上に直結することを示しています。

安全大会や新人研修など、さまざまな場面で活用されているのも特徴です。

積木製作・大林組:VRトレーニング教材とVRielによる技能継承

積木製作は、高品質なCG技術を活かした「安全体感VRトレーニング」を提供しています。

「可搬式作業台編」「開口部編」「脚立作業の危険性」など、現場で実際に起きたヒヤリハット事例をもとにした教材を幅広く展開しているのが特徴です。

また、複数人が同時に危険を体験できるVRシステムも手がけており、チーム単位での安全教育にも対応できます。

この積木製作と大林組が共同開発したのが、施工管理者向け教育システム「VRiel」です。

もともとは社内向けのOJT効率化を目的に開発されました。

しかし、その効果の高さから、2022年には他の建設会社向けにも外部販売を開始しています。

若手監督が配筋の不具合をゲーム感覚で発見できるなど、経験の浅い若手が現場の勘所を体感的に学べる技能継承の場としても活用されています。

  • 詳細はこちら→

VRトレーニング【企業研修・安全訓練にVR体感教育】|積木製作

VR技術を活用した施工管理者向け教育システム「VRiel」の販売を開始|大林組

明電舎:柔軟な提供形態で導入しやすいVR安全体感教育

明電舎は、VRとシミュレータを組み合わせた「VR安全体感教育」を展開しています。

サブスクリプション・レンタル・オリジナルコンテンツ開発など、柔軟な形態で導入できるのが特徴です。

3軸のVRシミュレータとヘッドマウントディスプレイを使い、ハシゴからの墜落や階段での転倒、クレーン操作など32種類のシナリオを体験できるのが特徴です。

ソニー:メタバース空間で複数拠点をつなぐVRコーチング

ソニーの「VRコーチング」は、メタバース空間を使った研修で、拠点が異なるチーム同士が同時にトレーニングできるサービスです。

現場の安全巡視や転落・墜落災害、建設重機の災害体験、鉄骨玉掛け作業など建設業向けの豊富なコンテンツを用意しており、採点機能などのゲーミフィケーション要素で受講者のモチベーション向上も図っています。

今後の展望:メタバース研修とAIが拓く安全教育の未来

メタバース空間での合同研修

複数人が同時に参加できるメタバース空間を使った研修も広がりつつあります。

たとえば、高所からの転落や重機との接触といった危険シーンをメタバース上に再現し、研修設備の維持費を抑えながら受講者数の拡大を図るといった導入効果を狙う動きも見られます。

全国の拠点や協力会社をオンラインでつなぎ、同じ危険体験を共有できる点は、現場が分散しがちな建設業と相性の良い活用法です。

WebXRとAIによる個別最適化

技術面では、WebXR技術が成熟しつつあります。

専用アプリのインストールなしに、URLをクリックするだけで仮想空間に入れる環境が整いつつあるため、ITリテラシーに関係なく誰もが参加しやすくなります。

さらに将来的には、受講者の視線や反応をAIが分析し、理解度や危険への感度に応じて教材を個別最適化するといった発展も期待されています。

まとめ

建設業の人手不足は、単に働き手が減るというだけの問題ではありません。

ベテランが培ってきた安全のノウハウを、次世代にどう継承するかという課題も突きつけています。座学中心の従来型教育だけで、その溝を埋めるのは難しいのが実情です。

だからこそ、体感を通じて危険を「自分ごと化」できるVR・メタバースの活用は、これからの安全教育に欠かせない選択肢になりつつあります。

指導者不足による教育品質のばらつき、教育時間の確保の難しさ、外国人労働者への対応など、現場が抱える課題はさまざまです。

こうした課題に対して、VRは標準化された高品質な教育を、いつでもどこでも届けられる手段になります。

Forgersでは、建設業に特化したVR・メタバース安全教育サービスを通じて、こうした課題の解決をサポートしています。

導入事例や具体的な教材内容にご関心のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。