デジタルツイン事例11選|製造業・物流・都市開発・医療での国内外の活用と効果
1,デジタルツインとは?最新活用事例と導入メリット
近年、製造業や物流業をはじめ、さまざまな業界で注目されている「デジタルツイン」。
現実空間の設備や環境を仮想空間に再現し、リアルタイムでデータを同期できるこの技術は、生産性の向上やリスク低減に直結します。
この記事では以下を解説します。
- デジタルツインの基本概要と構成技術
- 国内外の各業界の最新活用事例
- 業界別の導入効果とメリット


デジタルツインの概要
デジタルツインとは、現実世界の設備や環境を高精度な3Dモデルとして仮想空間に再現し、リアルタイムに同期させる技術です。
IoTセンサーやカメラ、PLCから取得したデータを統合し、現場の状態を可視化・分析します。設備の監視や異常検知、シミュレーションによる改善策検証など、幅広い用途で導入が進んでいます。
デジタルツイン技術の構成 – Unity・AWS/Azure

デジタルツインの構築には、
- 3Dデータの制作:3Dスキャナ、3DCADなど現実空間の3D化
- 3D空間の構築やオブジェクト同士のシミュレーションを行うゲームエンジンのUnity
- データ収集・蓄積・配信を行うAWS/Azureなどのクラウド基盤
- 現実空間のデータを吸い上げるIoTツール
などが必要になります。現場のデータをAWSに集約し、Unityベースのビューアでリアルタイム表示。これにより遠隔地からの監視や操作支援が可能となり、業務効率化と安全性向上が同時に実現します。
デジタルツインによるシミュレーションの利点
現物を動かすことなく仮想空間で動作検証や工程改善を行えるため、導入効果の試算やリスク評価が可能です。
コスト削減・トラブル予防・意思決定のスピード向上など、現場の生産性を飛躍的に向上させます。
2,製造業のデジタルツイン活用事例5選–国内外の最新動向
国内外では、化学プラントから空調機器、自動車まで、幅広い製造業でデジタルツインの活用が進んでいます。
代表的な5社の事例を紹介します。
AGC社:化学品プラント工場をデジタルツイン化

AGCは、化学品プラント工場にデジタルツイン技術を導入し、製造プロセスの可視化と最適化を進めています。
2023年には、インドネシアの子会社Asahi Mas Chemicalの塩化ビニルモノマー(VCM)製造設備でプロセスのデジタルツインの本格運用を開始しました。
プラント情報管理システム(PIMS)から取得した実際の稼働データをシミュレーターにリアルタイムで反映させ、反応から蒸留・精製までの工程を仮想空間上に再現。
設備の経年劣化まで考慮した高精度なシミュレーションを実現しています。
これにより、稼働状況に基づく迅速な意思決定が可能になり、エネルギー効率の向上や生産プロセスの最適化につながっています。
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ダイキン:止まらない工場のデジタルツイン

ダイキンは、2018年6月に空調機器製造の堺製作所臨海1号工場でデジタルツインを本格稼働させ、「止まらない工場」の実現に取り組んでいます。
カメラによる作業時間の自動計測や目視検査の自動化で工場全体を見える化し、設備故障の事前予知、数千パターンの生産順位シミュレーションによる最適化を組み合わせています。
2024年度の実績では、生産ロスを全体で6割、設備故障に由来する生産ロスは8割削減しており、この取り組みは国内外の他拠点にも展開されています。
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富士通:製造業向けデジタルツイン

車両の設計、製造、運用、保守の各段階でデータを統合・分析することで、生産プロセスの効率化や製品品質の向上を実現します。
このソリューションは、車両ライフサイクル全体をシミュレーションし、コスト削減や開発期間の短縮を可能にし、自動車メーカーの競争力強化に寄与するサービスとなっています。
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デンソー:工場のデジタルツイン

デンソーウェーブのデジタルツインシステム「DTS」は、工場の生産ラインを仮想空間上に再現することで、実際の生産プロセスをリアルタイムでシミュレーションし、最適化するためのソリューションです。
このシステムは、ロボットや設備の動作を正確にモデル化し、生産性の向上や設備の効率的な運用を支援します。
また、トラブルの予測や対策を事前に行うことが可能で、工場全体の安定した稼働を実現します。
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BMW:全工場を3Dスキャンし世界規模でデジタルツイン化
BMWは、世界各地の自動車工場を3Dレーザースキャンでデータ化し、デジタルツインとして活用する取り組みを進めています。
2023年初頭までに全車両工場でこのデジタル化を完了させ、生産ラインのレイアウト変更や設備配置のシミュレーションに役立てています。
さらに、NVIDIA Omniverseを活用し、現実世界とAI・ロボティクスを融合した工場運用も実現。
40種類以上のモデルと車両あたり2,100通りの組み合わせに対応する複雑な生産計画プロセスを、シミュレーションによって約30%効率化できるとしています。
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3,物流のデジタルツイン活用事例2選–海外物流大手とロボティクスの最新動向
DHL:物流ネットワーク全体のデジタルツイン化

DHLは、パッケージ・コンテナ・倉庫・配送センターから物流インフラ、グローバルネットワークまで、複数の階層でデジタルツインを活用しています。
IoTセンサーや3Dスキャンによって貨物や施設の状態をリアルタイムに監視し、損傷検知や温度管理、動線の最適化に役立てています。
また、港湾や空港ではAIによる需要予測を活用して運用の効率化を図っています。
輸送ネットワーク全体で見ると、輸送ルートや在庫配置の最適化にもデジタルツインが役立っており、物流効率と品質管理の両立につながっています。
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Amazon Robotics:倉庫ロボットのデジタルツイン
mazon Roboticsは、NVIDIA Omniverseを基盤に、自律搬送ロボット「Proteus」やロボットアームの学習・制御、倉庫全体の物流ラインをデジタルツイン化しています。
ロボットシミュレーションや合成データ生成を組み合わせ、棚の配置や商品の保管位置の最適化を仮想空間で検証してから実際の現場に反映しています。
現場導入前にロボットの動作や倉庫レイアウトを繰り返し検証できるようになり、物流オペレーション全体の効率化につながっています。
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4,医療業界のデジタルツイン活用事例2選–データ基盤から心臓シミュレーションまで
内閣府SIP:医療デジタルツインの発展に資するデジタル医療データバンク構想

内閣府のBRIDGE事業では、国立がん研究センターなどが参画し、日本で初となるデジタル医療データバンクの構築を進めています。
診療情報、ゲノム情報、医用画像、薬剤情報など多様な医療データを統合し、AIを活用した次世代診療ワークフローの確立を目指すプロジェクトです。
従来のバイオバンクは生物学的試料の収集・保存が中心でしたが、今回の取り組みではHL7 FHIR準拠の電子カルテ連携や医療画像マルチポータル基盤を採用し、がん専門医療機関とのデータ共有を実現。
肺がんにおける新規治療標的「HER2」の同定や、内視鏡・超音波診断支援AIの実証(POC)取得にも成功しました。
AIは病変検出や検査支援を担い、結果をリアルタイムで医師にフィードバックすることで、診療負担の軽減や医療安全の向上に寄与します。
また、この基盤は研究支援や若手医療DX人材の育成にも活用され、薬事承認や保険収載を見据えた社会実装が進行中です。
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国立循環器病研究センター:心臓のデジタルツイン「UT-Heart」
国立循環器病研究センターは、東京大学やUT-Heart研究所などと共同で、患者一人ひとりの心臓を再現する「UT-Heart」を開発しています。
約30〜40万個の微小な要素を組み合わせて心臓全体をモデル化し、拍動や血流などの力学的な動き、電気的な興奮の伝播、代謝などの生化学反応までを再現する「マルチスケール・マルチフィジクス」という手法を採用しています。
患者のCTデータから心臓モデルを生成する期間は、開発当初の月単位から1週間〜10日程度に短縮。
3Dプリンターで再現した心臓模型による手術リハーサルも実用化しており、2023年には国の支援事業に採択され治験も進められています。
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5,都市開発のデジタルツイン活用事例2選–施工管理からPLATEAUまでのBIM活用
鹿島建設(日本)

鹿島建設は、ピクシーダストテクノロジーズ(PXDT)と共同で、建設現場向けデジタルツイン基盤「鹿島ミラードコンストラクション™(KMC)」を開発しました。
この基盤は、施工前に設計されるBIMデータと現場で取得されるレーザースキャナー・ToFセンサー・Webカメラなどの空間データをクラウドで一元管理します。
データには撮影日時のタイムスタンプが付与され、現場の状況が変化するたびに更新される「デジタルツイン」として機能します。
さらに、BIMと現場の点群データを重ね合わせ、施工済み部分を色分けした「出来形ビュー」の表示や、部材単位での進捗率算出が可能です。
これらは専用の3DビューアやWebブラウザから閲覧でき、リアルタイムに変化箇所を色分けする画像解析にも対応。
これにより、施工管理・遠隔管理・ロボット搬送の効率が飛躍的に向上し、建物ライフサイクル全体のデジタル化とDX推進に貢献するとのことです。
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国土交通省のデジタルツイン「PLATEAU(プラトー)」

国土交通省が推進する「デジタルツイン・PLATEAU(プラトー)」は、都市の3Dデータを活用し、都市計画や防災対策などの分野でリアルタイムなシミュレーションを可能にするプラットフォームです。
このプラットフォームは、自治体や企業がデータを共有し、効率的な都市管理や新たなサービスの開発を支援することを目指しています。
2026年には「PLATEAUビジョン2026」を公表し、AIを活用して3D都市モデルの整備・更新を効率化する新たな戦略を打ち出しています。
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6,まとめ|デジタルツイン導入で得られる効果と次のステップ
デジタルツインは、製造業・物流・医療・都市開発などあらゆる産業で効率化・コスト削減・リスク低減を実現できる技術です。
国内外の事例は、導入によって生産性向上や安全性確保に直結することを示しています。
これから導入を検討される企業は、まず小規模なPoC(実証実験)から開始し、自社に最適なシステム構成や運用フローを固めることをおすすめします。

私たちForgersは、Unity・AWSを活用したデジタルツイン構築から運用までを一貫支援しています。
従来、製造・通信・小売業など幅広い業界の企業に対して、VR/ARやデジタルツインの実装・コンサルティング支援を行ってまいりました。
NTTドコモ、アイシン、ニトリ、NTT東日本などのXR開発や、大手化学メーカーの「工場のデジタルツイン化」も支援しており、スマートファクトリーの実現や、工場のデジタルツインの実現に向けて、企画・設計のコンサルティングや3D/XR開発も行います。
「自社に合うデジタルツイン活用方法を相談したい」という方は、ぜひこちらからお気軽にお問い合わせください。




